近年の止まらない光熱費の高騰によりランニングコストが増え、家計のやりくりも大変なことが多いこの頃。
家計の中でも水道光熱費は比重が大きく、できるだけ抑えたいところです。
特に一軒家の光熱費はマンションなどの集合住宅と比較して高くなりがちで、少しでもコストを抑えつつ快適に過ごしたいですよね。
そこで今回は、光熱費が上がる理由や省エネ性能の高いZEH住宅についてご紹介します。
- 1 そもそも戸建てはなぜ光熱費が高くなるのか?
- 1-1 マンションと比較して専有面積が広くなり、電気代が上がる
- 2 電気代は契約しているアンペア数によって変わる
- 3 住宅の気密性や断熱性によっても電気代は変わる
- 4 電気代を節約する家づくりとは
- 4-1 ZEH(ゼッチ)仕様住宅とは?
- 4-2 断熱性能
- 4-3 省エネ性能
- 4-4 創エネ性能
- 5 ZEHのメリット
- 5-1 ZEH住宅は建築に伴う補助金がもらえる
- 5-2 光熱費を実質ゼロにすることも可能に
- 6 ランニングコスト(光熱費)を抑えることができる
- 6-1 災害時でも電気を使用して過ごすことができる
- 7 住宅をZEH仕様にする際の注意点
- 7-1 ZEH住宅は通常の住宅に比べ、初期投資が高くなる
- 8 完成後に省エネ、創エネ関連設備のメンテナンス費用が発生する
- 9 電気代を抑えるZEH住宅を知って、快適に暮らそう
そもそも戸建てはなぜ光熱費が高くなるのか?
マンションと比較して専有面積が広くなり、電気代が上がる
マンションやアパートから一戸建てに引っ越しをした方の多くは、電気代の高さに驚くケースがほとんどです。
実際、集合住宅に比べて戸建住宅の方が光熱費が高くなる傾向があり、マンションと比較し1.3~4倍の差があると言われています。
一戸建てはひと部屋当たりの面積が広くなったり、部屋数が増えたりするのが特徴です。
そのため、必要に応じてエアコンや加湿器、除湿器などの電化製品や照明などが増えるので、その分使用する電気量が増え電気代が上がります。特に、全館空調などの空調設備のある住宅も電気代が高くなる傾向にあります。
電気代は契約しているアンペア数によって変わる
日本では一般住宅は主に、東京電力や中部電力でアンペア制(10~60Aのブレーカーを使用し電力を供給)を契約し、電気を使用している住宅がほとんどです。
電気代の基本料金は、契約アンペアによって変わります。アンペアとは電気の量を示す単位のこと。
電気料金プランを決定する際に、同時に使用できる電気量を考えて契約するアンペアを決定します。一般的に契約アンペアを10上げることで基本料金が300~400円高くなることがほとんどです。
必要以上にアンペアを大きくすると基本料金に跳ね返ってくるので、適正なアンペア量で契約することがポイントです。契約アンペアを大きくすれば、電子レンジやポット、ドライヤーを同時に使ってもブレーカーが落ちることがありません。アンペアが小さいとブレーカーが頻繁に落ちることになるので、注意しましょう。
住宅の気密性や断熱性によっても電気代は変わる
戸建てと比較して、マンションやアパートは部屋数は少ないのが一般的です。それに対して戸建ては2階部分があったり、吹抜けなどの開放的な空間をつくる設計になっていることも多く、マンションと比較して空気の出入りが多くなり気密性が低くなることが電気代が上がる理由のひとつです。
また、上下左右が住宅(居室)に囲まれているマンションは、室内の温度を外気に逃がしにくく外からの冷気が入りにくいため電気代が抑えられていると言えるでしょう。
反対に、戸建住宅は四方が外気にさらされるため環境面からも電気代が高くなると考えられます。
このことからも戸建ての場合、構造面で気密性・断熱性が高いだけでなく、省エネにつながる家づくりが必要になります。
省エネだけでなく消費エネルギーを作り出すZEH住宅などが近年注目されているのも納得です。
電気代を節約する家づくりとは
電力は生活する上で欠かせないエネルギーですが、電気代は家計における比重が高いのも事実です。
だからこそ、政府によって省エネや環境面に配慮した生活ができるようエネルギー政策が進められています。
その中のひとつがZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及です。電気代を抑えられるだけでなく、太陽光発電で電気を作り出す、現在注目の高いZEH住宅。とはいったいどんな住宅なのでしょうか。
ZEH(ゼッチ)仕様住宅とは?
ZEH(ゼッチ)とはNET Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略のこと。
住宅の断熱性を上げ、高性能設備でエネルギー消費をおさえつつ太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の一次消費エネルギー量の収支をプラスマイナス(正味)で「ゼロ」にする住宅のことを指しています。
「断熱性」「省エネ性」「創エネ性」のそれぞれ政府の定めた3つの条件を満たしていることでZEH住宅と認められます。
断熱性能
断熱性とは、室内の温度を外に逃がさず、屋外の熱が室内に伝わりにくい性能のことを指します。
ZEHは、この断熱性が高いほど評価を受けるため、基準をクリアするために高い断熱性の素材が使われます。
また、窓の大きさや種類にも気を付けましょう。熱移動が頻繁に行われる窓は大きければ大きいほど、室内の涼しさを逃がし外気を取り込むことになります。大きな窓を取り入れたい場合は、そ断熱性の高いトリプルガラスや樹脂サッシを取り入れることで、窓からの熱移動を抑える効果を期待できます。
断熱性のことを考えると大きい窓は考え物です。しかし、小さな窓では外からの光を取り入れるのに、物足りなさを感じることも。家づくりの中で省エネとのバランスを考えていきましょう。
断熱性能は具体的には、UA値(家の外皮からどれだけ熱が逃げるかを示す数値)を用いて熱量の逃げにくさ(基準値)を測り、UA値0.4~0.6以下という数値の住宅が、ZEH基準を満たすと判定されています。
省エネ性能
ZEH(ゼッチ)で一次エネルギー消費量を正味ゼロにするには、第一にエネルギー消費量を減少させる「省エネ」の工夫が不可欠です。
消費するエネルギー量を低く抑えることができれば、ZEHのもう一つの特長でもある「創エネ」つまり、太陽光発電システムなどによって作り出すエネルギー量も少なくて済みます。毎日使う電気やガス、水道などを節約して使うことによって、プラスの利益を得ることも期待できます。
省エネ性能は具体的に、一次消費エネルギーを20%以上削減できる省エネ性能を持った家電・機器の設置が必要とされています。
特に照明、空調、換気、給湯という4種類の機器に関しては、ZEH基準に達した電化製品や設備を選ぶことが義務付けられています。
創エネ性能
「創エネ」とは、エネルギーを創りだすことです。住宅設備でエネルギーを創出できることは、ZEH住宅として認定されるために必要な要素の一つです。具体的には太陽光発電システムや蓄電器の導入などが挙げられます。
太陽光発電があれば、日常生活で使用する電気を自家発電でき、余った電力を売ることができます。太陽光発電の容量10kW未満は、全量買い取りは選択できないので注意しましょう。余剰買取と自家消費を組み合わせる必要があります。
しかし近年は売電価格が下がっていることもあり、自家消費の方がお得に使用できるといわれています。自家発電した電力を有効に使うためにも蓄電器があると日常使用だけでなく、災害や停電など非常時にも利用できるので安心です。
ZEHでは、創出するエネルギーが消費エネルギーを上回る場合に、創エネ性能が基準を満たしていると認められます。
ZEHのメリット
ZEH住宅は建築に伴う補助金がもらえる
冒頭でもご紹介したように、政府は環境や省エネに配慮したエネルギー政策に注力しています。
日常生活の中で比重の高い光熱費の削減につながるZEH住宅も、力を入れている取り組みのひとつです。そこで、ZEH仕様住宅を建てる方を対象に最大100万円の住宅補助金を給付する取り組みを行っています。
この補助金は政府予算に到達したら終了してしまいます。コストを抑えながら長く生活できるZEH仕様住宅をお得に手に入れるチャンスです。この機会にぜひ住宅購入の検討をおすすめします。
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光熱費を実質ゼロにすることも可能に
ZEH住宅は断熱性だけでなく気密性が高いため、エアコンで冷やしたり床暖房を使って一度暖めたりした室内温度が、仕様前に戻りにくいという特性があります。
電気代のうち、多くのウェイトを占める冷暖房機器を使用する時間を減らせるので、消費エネルギーが減り電気代の削減が可能です。
また、ZEH住宅は特長として太陽光発電を取り入れています。自分たちで使う電気を自家発電し余った電気を売却することもできます。
これにより、光熱費をプラスマイナスゼロにすることが可能になり、場合によっては黒字化させることができるかもしれません。エネルギーを消費するだけでなく、作り出すことができるZEH住宅の大きなメリットのひとつです。
ランニングコスト(光熱費)を抑えることができる
ZEHのメリットとして、家の気密性・断熱性が高いということが挙げられます。季節に関係なく快適な室内環境が整うため、ZEHは一般の住宅と比べて、エアコンの設置台数や使用頻度を減らすことが可能です。エアコンを稼働した場合でも、気密性が高く適正な温度設定で使用できエアコンの稼働を最小限に抑えることができます。
また、床暖房などの設置も必要最低限です。床暖房があることで、冬の外気から室内を温かく守ります。気密性が高いので室内の熱が逃げることなく暖かさを保てるので、結果として電気代を抑えられるのです。
さらに、オール電化の住宅であればそもそもガスの基本料金の支払いが必要ありません。オール電化に必要な設備投資が高額ではあるものの、自家発電や電気代を抑えることができる設備の活用で長い目で見ると採算がとれるでしょう。
戦争などの世界情勢をはじめ、電気の原料である石炭や液化天然ガス(LNG)など輸入価格の高騰などの影響もあり、今後も更なる電気料金の高騰が続く可能性は高いと考えられます。
だからこそ、自分で電気をつくることができるZEH住宅は、ますます注目を集めていくといえます。
災害時でも電気を使用して過ごすことができる
ZEH住宅は太陽光発電を利用しています。そのため、地震や台風などの災害が原因で電気の供給がストップした場合でも、太陽光発電で作られた電力を利用して、自宅で過ごすことが可能になります。
また、ZEH住宅は蓄電器を設けているので、停電などの急な災害時にも安心して電気を使用することができます。災害時に電気の利用に関して、日常とあまり変わらない水準の生活を送れることが期待できるのは、ZEH仕様住宅の大きなメリットのひとつだと言えます。
住宅をZEH仕様にする際の注意点
ZEH住宅は通常の住宅に比べ、初期投資が高くなる
ZEH仕様の家を建てる際、高い断熱性を保つために高品質の断熱材やトリプルガラスを使用した窓など、そもそもの素材が通常の住宅に使用されるものよりも高くなることが挙げられます。
また、通常の住宅には設置していることが少ない太陽光発電に必要なソーラーパネルや蓄電器、さらにオール電化にした場合、各設備機器などのイニシャルコストが高くなることが考えられます。
初期費用は高くなりがちですが、光熱費などのコストを抑えることができるなどのメリットを考えると、トータルで発生する費用を抑えることも期待できるのがZEH住宅のよいところ。
イニシャルコストだけ考えてZEH仕様住宅を諦めてしまうのは、もったいないので補助金制度などのメリットも含めて検討してみましょう。
完成後に省エネ、創エネ関連設備のメンテナンス費用が発生する
ZEH住宅の条件に必要な太陽光発電などの設備は、定期的なメンテナンスが必要です。設備が高性能になれば、それだけメンテナンスの手間や費用が上がります。
エアコンはもちろんのこと、特に給湯器や換気機器などはメンテナンスコストが高くなる傾向にあるので、念頭に置く必要があります。
メンテナンスを怠ると、故障や劣化を早めることにもつながるので、注意が必要です。あらかじめメンテナンスにかかる費用を積み立てたり、予定しておくと安心です。
電気代を抑えるZEH住宅を知って、快適に暮らそう
いかがでしたか?今回は、電気代削減が期待でき、快適に暮らせるZEH住宅についてご紹介しました。
住宅設備だけでなく、電気代を抑えるための工夫は日常的に行う必要があります。
ですが住宅全体でも光熱費削減ができたら、生活の質の上でも快適に過ごすことができます。ZEH住宅は、そんな光熱費の中でも多くを占めるエアコンなどの電気代を抑え、さらに自ら電気を作り出す次世代に受け継げる住宅のカタチだといえます。浮いたお金を家族で過ごす時間に充てることで、より豊かな暮らしにもつながれば、心から快適に過ごすことができるのではないでしょうか。
ZEH住宅が少しでも気になる方は、ぜひ私たちにご相談ください。電気代を抑える秘訣やZEH住宅について皆様のお悩みを解決するお手伝いをさせていただきます。