これからの住まいのスタンダードとも言われている「省エネ住宅」。
マイホームを購入する上でも、住宅の省エネ性は気にしておきたい大切なポイントのひとつです。
家づくりを検討していると、「省エネ住宅」という言葉に触れることが多いかと思います。しかし、実際にどのような住宅のことなのか、メリットは?などと気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「省エネ住宅」について、その種類やメリットについてご紹介します。
- 1 そもそも「省エネ住宅」とは?
- 2 「省エネ住宅」を決める2つの基準とは
- 2-1 断熱等性能等級
- 2-2 一次エネルギー消費量等級
- 2-3 今後、「省エネ住宅」は二つの基準適合が義務化される可能性も
- 2-4 2024年からは「省エネ性能表示制度」がスタート
- 3 「省エネ住宅」にはさまざまな種類が
- 3-1 長期優良住宅
- 3-2 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
- 3-3 低炭素住宅
- 4 「省エネ住宅」のメリットとは
- 4-1 光熱費が安くすむ
- 4-2 補助金や税金控除制度の対象になる
- 4-3 長く快適で健康な暮らしができる
- 5 「省エネ住宅」の魅力を知って、長く快適な住まいを手に入れよう
- 6 家づくり相談会開催中!
そもそも「省エネ住宅」とは?
「省エネ住宅」を決める2つの基準とは
断熱等性能等級
省エネ住宅と呼ばれる住宅は、2つの基準をクリアする必要があります。
ひとつは「断熱等性能等級」です。
断熱等性能等級は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた省エネ性能の基準のことです。
等級は1~7まであり、数字が大きいほど省エネ性能が高い住宅ということになります。
2022年に改正され、それまで4までだった等級は7まで引き上げられ、より高い省エネ機能を持つ住宅が誕生しています。
一次エネルギー消費量等級
一次エネルギー消費量等級とは、住宅が一年間に消費するエネルギー量を算出し、等級を付けたものです。
具体的には「設計一次エネルギー消費量」÷「基準一次エネルギー消費量」で求められるBEIという数値で等級が決まります。
BEIが小さいほどエネルギー消費量が少なく、等級は高くなるため、省エネ効果が違うことがわかります。
国が定める省エネ住宅の基準では、一次エネルギー消費量等級4以上の適合が求められます。
今後、「省エネ住宅」は二つの基準適合が義務化される可能性も
国土交通省によると、2022年に建築物省エネ法が改正され、2025年から省エネ基準適合が義務化される予定です。
2024年時点で二つの省エネ基準への適合は「努力義務」になっていますが、2025年4月(予定)以降はすべての住宅が省エネ基準を満たす必要があります。
具体的には、断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級ともに等級4以下の新築住宅は建てられなくなるということです。
省エネ基準適合が義務化される2025年までにマイホームを建てる方も、省エネ性能の高いマイホームを今から検討することが大切になってきそうですね。
2024年からは「省エネ性能表示制度」がスタート
また、2024年4月からは「建築物の省エネ性能表示制度」がスタートします。
この制度は、不動産広告の物件情報に省エネ性能を表示することで、広告を目にした消費者が、購入時や賃貸時に住宅の省エネ性能の把握や比較ができるようにすることが目的です。
表示が必要なのは2024年4月以降に建築確認申請を行った物件ですが、中古住宅でも表示が推奨されてます。
省エネ性能は、今後上記のような「省エネ性能ラベル」によって表示される予定です。ラベルの種類は、評価方法や再生エネルギー設備の有無などによって異なりますが、いずれも星や数字でわかりやすく表示されるため、消費者は一目で省エネ性能を把握しや少なることが予想されます。
「省エネ住宅」にはさまざまな種類が
長期優良住宅
「長期優良住宅」とは、長期間住み続けることを目的に、国の定める基準を満たした住宅のことです。
つまり住宅を建てた世代だけでなく、住み継ぐことを前提に建てられている高品質な住宅といえます。
「快適な室内環境」「災害に強い構造」「メンテナンスのしやすさ」などの認定条件をクリアする必要があり、認定された家は税制面でのメリットがあるのが特長です。
長期優良住宅の特長
省エネルギー性 | 必要な断熱性などの省エネルギー性能が確保されていること |
---|---|
維持管理・更新の容易性 | 構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること |
劣化対策 | 数世代にわたり、住宅の構造躯体が仕様できること |
耐震性 | 極めてまれな地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷レベルの低減を図ること |
居住環境 | 良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。 |
住戸面積 | 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。 |
バリアフリー性 | 将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。 |
維持保全計画 | 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。 |
災害配慮 | 自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。 |
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
ZEH(ゼッチ)とはNET Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略のことです。住宅の断熱性を上げ、高性能設備でエネルギー消費を抑え、太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の一次消費エネルギー量の収支をプラスマイナス(正味)で「ゼロ」にする住宅のことを指しています。
「断熱性」「省エネ性」「創エネ性」といった、それぞれ政府の定めた3つの条件を満たしていることでZEH住宅と認められます。
断熱性能
室内の温度を外に逃がさず、屋外の熱が室内に伝わりにくいことを断熱性と言います。ZEHは、この断熱性が高いほど評価を受けるため、基準をクリアするために高い断熱性の素材が使われます。
また、熱移動が頻繁に行われる窓は大きければ大きいほど、室内の涼しさを逃がし、外気を取り込むことになります。
断熱性のことを考えると大きい窓は考え物です。しかし、小さな窓では外からの光を取り入れるのに、物足りなさを感じることも。大きな窓を取り入れたい場合は、そ断熱性の高いトリプルガラスや樹脂サッシを取り入れることで、窓からの熱移動を抑える効果を期待できます。
断熱性能の具体的な数値などは、検討が進んだところで工務店の担当スタッフに確認してみましょう。
省エネ性能
エネルギー消費量を減少させる「省エネ」の工夫がZEH住宅には不可欠な要素のひとつです。
省エネの効果が高く消費するエネルギー量を低く抑えることができれば、ZEHのもう一つの特徴でもある「創エネ」つまり、太陽光発電システムなどによって作り出すエネルギー量も少なくて済むのはメリットです。
毎日使う電気やガス、水道などを節約して使うことで、プラスの利益を得ることも期待できます。
そこで具体的には、一次消費エネルギーを20%以上削減できる省エネ性能を持った家電・機器の設置が必要とされています。特に空調、照明、換気、給湯という4種類の機器に関しては、ZEH基準に達した商品を選ぶことが義務付けられています。
創エネ性能
エネルギーを作り出すことを「創エネ」と言います。
住宅設備でエネルギーを創出できることも、ZEHとして認定されるために必要な要素のひとつ。例えば、太陽光発電システムや蓄電器の導入などがあります。
太陽光発電があれば、日常生活で使用する電気を自家発電できる上に、電力が余ればその分を売ることができます。太陽光発電の容量10kW未満は、ZEH全量買取は選択できないので注意しましょう。
余剰買取と自家消費を組み合わせる必要があります。近年は、売電価格が下がっていることもあり、自家消費の方がお得に使用できるといわれています。自家発電した電力を有効に使うためにも蓄電器があると日常使用だけでなく、非常時にも利用できるので安心です。
ZEHでは、創出するエネルギーが消費エネルギーを上回る場合に、創エネ性能が基準を満たしていると認められます。
低炭素住宅
低炭素住宅は、二酸化炭素の排出量を抑えるための対策をしている住宅のことです。
2020年10月、政府はカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)を目指すことを宣言し、低炭素住宅の普及を推進しています。
上でご説明した、国の省エネ基準に比べて一次エネルギー消費量を20%以上削減、かつ再生可能エネルギー設備を導入して一次エネルギー消費量を50%以上削減することが認定条件となっています。
一般的な住宅と比較して、地球温暖化の原因となるCO2の排出を抑えられるため、低炭素住宅は、環境にやさしい住宅と言えます。
「省エネ住宅」のメリットとは
光熱費が安くすむ
高気密・高断熱である省エネ住宅は、冷暖房効率が良いため光熱費を安く抑えられるのがメリットのひとつです。
近年止まらない水道光熱費の高騰で、家計のやりくりにお悩みの方も、省エネ住宅であれば毎月・年間の節約効果も大きいだけでなく、長く暮らすことでさらにメリットを受けられます。
日々の家計に影響する水道光熱費を安く抑えることができるのは省エネ住宅の大きなメリットと言えます。
補助金や税金控除制度の対象になる
一定基準を満たした省エネ住宅は補助金や所得税控除といった優遇制度を活用できるのが「省エネ住宅」の大きなポイントです。
省エネ性を高める対象設備を構えた住宅は条件により、補助金額が大きい制度も多いため、建築費用を抑えて高性能なマイホームを手に入れることができます。
国の実施している補助金は予算が限られている場合もあり、お得な補助金や税金控除の施策があるうちに住宅購入の検討がおすすめです。
長く快適で健康な暮らしができる
省エネ住宅は高気密・高断熱の住宅です。外気の影響を受けにくいため、暑さ・寒さによる日々のストレスが少なく、快適で健康的な暮らしを送れることも魅力です。
また、家全体で一定の温度湿度を保つことができるので、お部屋ごとの温度差が少ないため、冬場の浴室で起こりやすい「ヒートショック」による健康被害などのリスクも軽減できます。
健康な暮らしを長く維持できることも省エネ住宅のメリットのひとつです。
「省エネ住宅」の魅力を知って、長く快適な住まいを手に入れよう
いかがでしたか?
今回は「省エネ住宅」の魅力とそのメリットについてご紹介しました。
2025年4月より、原則すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務付けられることから、2024年からは省エネ基準に適合していない物件が住宅ローン減税の対象から外れます。このことからもわかるように、省エネ住宅は日本全体のトレンドとして広がりつつあり、「長く快適な家に住む」ということがスタンダードとなり、住宅の品質が正しく評価されることで、資産価値も上がることが期待されています。
「長期優良住宅に住みたい」「住宅ローン控除などのメリットについて詳しく知りたい」と少しでもお考えの方は、私たちへご相談ください。
皆様のお悩みや疑問を解決し、快適な住宅を手に入れるお手伝いをさせていただきます。